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気が付けば、駅の近くのバーのドアを開いていた。
どうせ明日は休みだし、飲んで嫌なことは忘れよう。
「あ、莉子ちゃん、いらっしゃい」
会社の人間が行きつけのバー。マスターは多分、社員よりも社内の人間関係を知ってると思う。
「なに飲む?」
「お任せで」
「…今日の気分は?」
「酔いたい気分!」
マスターがシェイカーを振る音を聞きながら、コートをハンガーに掛けて。ふと店の奥に目をやると、隅に若い男が座っていた。
「……あ、」
目が合った。
パッチリとした二重に、スッと通った鼻筋。小動物系、って言うんだろうか…とりあえず、タイプではない。
だけど、ニコリと微笑いかけられて、嫌な気はしなかった。
「…お姉さん、1人?」
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