4★課長

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時刻はお昼。今までだって、何度も見かけたことがある。 ーーー彼に、愛妻弁当を届けに来る、奥様の姿を。 仔犬は奥様の顔を知らないはずだし、とっさに勘付いて私に気遣ってくれたんだろうけど。 「…よくあるよ、これ」 「えっ…、マジ?」 「挨拶したこともあるし」 「ま、マジかよ…」 見かける度に、うまく行ってるんだなーって感じてる。 分かってる、分かってるんだけど。 ーーー昼飯、行ってから帰る? 唐突に、提案された。 ハンドルに腕と顔を乗せて、チラリと私の様子を伺う仔犬。どことなく、照れているようにも見える。 ーーー慰めようとしてくれているんだろうか。 「…そうだね、近くに美味しいインドカレーがあるよ」 すると、彼の耳がピク、と反応した。いや、人間だから実際には反応してないんだけど。 「まじ?ナンある?」 「もちろん、おかわり自由だったはず」 「やりィ!それにしようぜ!」 アクセルを踏んで、路地に入るセダン。 エンジン音が、さっきよりも少しばかりご機嫌な気がした。 【つづく】

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