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柊@研修中 (約1分)
柊はホームゲレンデを離れ、泊まりがけでインストラクターの合宿に来ていた。標高の高いよそのスキー場での研修は、かなり寒さが厳しいものであった。
そんな極寒の中だと言うのに、プルークボーゲンのフォームの確認など動きの少ない練習が続き、益々体温は奪われていった。
1日目の雪上の研修を終え、宿に戻り、早めの夕食も食べ終えた。
温泉で体を温め、こわばった体をほぐし、ホッとしたのも束の間、夜に控えている座学の時間となった。
ぐったり疲れて動きたくなかったが、急いで支度し、自分の宿から離れた研修所へと向かった。
外に出ると、いつもとは見慣れない景色。
たまにはいいものだ。
それにしても、ここは寒いな。
ふと、見上げると、街灯で照らされた空気がキラキラ煌めいているのがわかった。
雪?ダイヤモンドダスト?
彼は 幻想的な光景に目を見張った。
しーんと静まり返りピンと張り詰めた空気。
ふと、視線を落とし足元を見ると、白に埋もれている。
けれど、驚いたことに、いくら歩みを進めても、一切重さも抵抗感も感じない。何もなかったかのように足あとすら残らない。
さらさらと流れ出てしまう。
一歩一歩、不思議な感覚に囚われる。
明日の朝は一体どんな雪上になるのだろうか。研修の前に滑って確かめたい。
早起きを誓う。
そうだ。…あの子にも見せたかったな。
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