12月

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12月

   街中はイルミネーションで飾りつけられ、華やかに賑わう。  湿った空気がより一層冷え込み、雪をちらつかせたのはクリスマス。  クラスのみんなでクリスマスパーティーをしよう! と企画したのは裕也だった。  クラス仲は男女問わず悪くない。出欠を取れば、予定のない半数ほどの人数が集まった。俺もひなたも参加する。  団体で集まるのは、高校生らしくカラオケボックスだ。 「旭くん、学祭で歌った曲聞きたい〜!」  と女子が言えば、 「よっし! 歌え!」  とマイクを押し付けてくる裕也。  流されるままひとりで歌うのも癪なので、裕也にもマイクを持たせた。  俺よりもノリノリで歌う裕也に、聞きたいと言った女子は手を叩いて笑った。離れた所に座るひなたも、可笑しそうに笑っていた。  その後は順が回ってくるまで、食べたりしゃべったり。たまにマイクを渡され一緒に歌うこともあった。  盛り上がりも最高潮に達し、ここでメインイベントのプレゼント交換が行われた。  番号の書かれたくじを引き、振られた番号のプレゼントが貰える。 「えっ、いらな……」  俺が貰ったのは、裕也が女子が当たることを前提に買ったであろう手袋だった。 『フワモコ』が売り文句の、ピンクベージュ色のミトン手袋だ。ワンポイントにショップブランドマークのうさぎの刺繍が入っている。  しかもこの手袋……俺はため息をついた。 「なんで旭に当たるんだよ!」  裕也が本気で叫んでいるが、みんなに笑い飛ばされて終わる。悔しそうな裕也は「使えよ!」とだけ言った。  ふと、ひなたを見れば、当たったプレゼントを友達と見ているところだった。オシャレなパッケージのバスソルトは、俺が選んだものじゃない。  そう、上手くはいかないものだ。 「じゃ、仕切り直して誰歌うー?」  手を挙げた者がマイクを持ち、カラオケが再開された。  ひなたは友達と部屋を出ていった。  ひとりだったら追いかけようと思ったが……やっぱり、上手くはいかない。  帰りに二人きりになれるか? と、俺はショルダーバッグを見た。ひなたに用意した、プレゼントが入っていた。  数分後、部屋に戻ってきたのはひなたの友達だけ。  特に何も思わず、さらに数分後。戻ってきたひなたは、どこか元気がなく。  ひなたと面識がなさそうな、偶然来ていたという他クラスの女子達を連れてきたことに、不思議だなと思った。  マイクが回ってきても他の子に渡してしまい、笑顔がぎこちない。  どうしたのかと声をかけたかったが、他クラスの女子に囲まれて動けず。  そのうちに、ひなたは荷物を持ったかと思うと、先に帰ってしまった。 「裕也、俺抜ける……」 「えー! 旭くんの歌もっと聞きたーい!」 「抜けるなら、うちらも一緒に出よ〜」  追いかけることも叶わず。  ひなたの友達ががそわそわと部屋を出て電話し始め、他の女子達もピリついた。  こっそりと、ひなたにメッセージを送る。  返事は『この後、用事があって』と、それのみだった。  ひなたへのクリスマスプレゼントは、予定外にも一緒に年を越すこととなった。
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