むかしばなし

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 其の五・つくねじまの目玉ババア    これは従兄のシゲ(にい)やその友だちから聞いた、元白鳥になってからの話。  つくねじま、というのは団地の名前で、大山の津久根島神社から名前を取られた。  団地のまん中あたりに、目玉ババアは住んでいる。  高い塀に囲まれた家で、門はたいがい閉まっている。  塀の上には鉄条網が張られ、尖ったガラスが埋め込まれている。  門にはステッカーが沢山貼ってあって、家の周りの沢山ののぼりが目印だ。  屋敷の中に細くて高い鉄塔があって、頂上には黒い『見張り箱』がついている。  監視カメラだと言われていて、白いペンキでヘタクソな目玉の絵が描かれている。  人があまり家に近づくと、警報機が鳴るという人もいた。  たまに出てきて、目が合った人がいるとつばを飛ばして威嚇する。  ババアはカラスを手下にしていて、よく、長いままの竹輪をくわえたカラスが屋根に止まっている。  うちのケイ兄とシゲ兄が数人の友人とともに、夏の夜に肝試しに目玉ババアの家まで出かけて行って、みんな揃って泣いて帰って来たことがあった。  何があったかは『覚えてない』のだそうだ。
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