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真田の家は会社の上だ。
3階建ての建物の1階がコンビニで2階が会社、そして3階が真田の住居になっている。
元々真田の実家がやっていたコンビニを数年前に改築して、それを機に真田は起業してコンビニを他の人に任せたのだ。
僕の家はそこから歩いて十分のところにある単身向けの家具付マンションで、白井くんは会社と僕の家のちょうど中間の所にあるマンションだ。
「これからちょっと飲もうと思ってるんだけど、一人もつまらないしさ。時間があるなら付き合えよ」
決して強要するような口調では無いけど、ちょっと真田の気持ちが分かる。
久しぶりに高校の同級生や先生と会って、なんだか懐かしくて誰かと話したい気分だ。
「いいよ。僕は飲まないけど」
「分かってるさ。話せればいいよ」
車は僕の家を過ぎて真田の家に向かった。
僕はそれを見ながらスマホを取り出すと、白井くんにメッセージを送った。
会場を出た時にこれから帰る、とメッセージを送っていたけど、ちょっと寄り道をすることになったからその報告。
すると直ぐに既読が付いて返信が来た。
『帰る時はまたメッセージください。迎えに行きます』
白井くんも過保護だな、と思いながら猫がコミカルに敬礼しているスタンプを送った。
メッセージアプリを個人的に使ったのは、白井くんが初めてだった。仕事の連絡手段としてアプリは入れていたものの、友達もいなかった僕は使ったことがなかった。
直人とは連絡先すら交換していなかったので、直人の住所も電話番号もメアドも何も知らない。直人も僕の家以外は知らなかったと思う。
こういうやり取りは初めてだと言ったら、白井くんはすごく喜んでいろいろスタンプをプレゼントしてくれた。なんだかよく分からないけど、スタンプの使い方これで合ってたかな?
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