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「僕も・・・覚めて欲しくない。ずっとこのままがいい」
その言葉に直人はふわりと笑って僕のおでこにキスをした。
「覚めないよ。オレはもう帰らない。ずっとユウのそばにいる」
その言葉に再び涙が零れる。
ずっとナオのそばに居続けられるなら、僕もこのまま夢の中にいたい。
直人はおでこにもう一度キスをして、涙を舌で拭うと、唇にキスをした。
やさしいキス。
何度も啄むようなキスを繰り返し、直人はゆっくりと僕の唇を開かせる。その間、僕たちは目を閉じずにずっと見つめあっている。
直人の瞳は次第に熱を帯び、欲情していく。そして僕の息が上がる。
「・・・どうしてユウは、今ここにいるんだ?」
唇を耳元に移して吐息とともに囁く言葉に、僕の体はびくんと反応する。
耳が熱い。
「今日・・・どうしてもここにいたかったから・・・」
ちゅっちゅとわざと音を立てながら小さなキスを繰り返す。
「どうして?」
「じゅ・・・12年前の間違いを・・・正したかった・・・からっ・・・」
キスの度に体の中の火が灯されていく。
「・・・12年前のあの日・・・を・・・もう一度・・・やり直したかった・・・あっ・・・」
不意に直人が耳朶を噛んだ。
夢現の中交わった時のまま、まだ何も身につけていない僕の腰に直人が体を押し付けてきた。そこは既に熱く猛っている。
「・・・やりっ・・・やり直しなんて・・・出来ないから・・・あっ・・・せめて・・・今日・・・この日に・・・ここから・・・あぁ・・・んっ」
直人は僕の両膝を持ち上げて腰を上げると、まだ柔らかく濡れたそこに欲望を打ち込んだ。
「あぁ・・・んっん・・・っ」
一気に根本まで沈めると、再び耳元で囁いた。
「やり直したよ。さっき。オレたちはお互い過ちを正したんだ。今日、ここで会えたのも偶然じゃない。運命でもない。オレたちはお互いに12年前のあの日を悔い、やり直したいと思ってたからだ」
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