最終話

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 まあ、あれだな。  子どもってのは苦いもんが苦手だが、大人ンなると苦いもんを旨いと感じるようになるもんなんだな、うん。  そうちょうど、ほろ苦い佃煮を肴にビールを旨そうに呑む婆さんのように。  なのに婆さんときたら!    俺がセロリの葉っぱの佃煮を美味しく食えるようになる前に、逝っちまいやがった。  まだ七十にもなってなかったくせして。  日本は高齢化社会なんだぞ? 女性の過半数が古希・喜寿・傘寿・米寿・卒寿を迎えるご時世なんだよ。  それを、何が『新盆』だ。たくさんの慶事をすっ飛ばして、法事なんか開かせやがって。  まったく……、空気の読めねえ婆さんだよ。 了
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