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俺と婆さん
俺はまだ、半人前の浅草の町大工。ベテランに言わせりゃ『まだまだケツの青い鼻垂れ小僧』で、ちっとばかし前に『二級建築大工技能士』って資格を取ったばっかだ。
これからも技能を身に着け腕を磨いて『一級建築大工技能士』の資格を取って、一人前の大工になったら所帯を持つのが夢だ。
おっとそれまでに運命の女性に巡り合わなきゃな。ショートヘアが似合う、竹を割ったようなさっぱりとした気性の女性が俺の理想だ。
さて、二〇十九年の女性の過半数が九十歳まで生きるご時世だ。
還暦(六十歳)の後にも古希(七十歳)・喜寿(七十七歳)・傘寿(八十歳)と慶事がある。
平均寿命を超えたら、米寿(八十八歳)・卒寿(九十歳)・白寿(九十九歳)・百寿(百歳)と慶事があるんだ。
で、問題はうちの婆さん。ボケてるわけじゃないんだ。
新聞も毎日しっかり読んでるし、公共放送のニュース番組だって毎日欠かさず観てる。
けど、本人は決して悪気はないわけなんだが、どうにもこうにも空気が読めないんだ……。
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