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ストレスを侮ってはいけない。
たまるストレスが、山崎の精神と身体を蝕み続ける。
もう、連続くしゃみどころではなく、ガッツリ病気になった。
やむなく1年間休職し、なんとか復職した春の日、山崎は異動を言い渡される。
「新しい学校に赴任すれば、気持ちも新しく生まれ変わる。山崎君、新天地では上手くやりなさい」
校長にガッシリ手を握られ、分厚いファイルも押し付けられた。
そして、笑いながらバンバンと背中を叩かれ、能面のような笑顔を張り付かせた同僚達に拍手で見送られる。
もう早く出て行け、と言わんばかりに。
「新しい学校……」
トボトボと校庭を歩いていると、ちょうど始業のベルが鳴る。
8:30分
あんなに待ち焦がれ、ウキウキとした気持ちで、始業のベルを待っていた自分はもういない。
今は、試合終了のゴングよりも重く聞こえる。
「教師なんかなるんじゃなかった」
山崎は足早に校庭を抜け、裏門から学校を出る。
振り返る勇気も、もちろんなかった。
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