自宅の19:20分

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ワンルームの部屋は、もう薄暗くなっていた。 どのくらいぼんやりしていたのだろう。 ドアポストにチラシが入れられたのか、カタリと云う音で我に返った。 部屋に帰ってから、ただ天井を見ていた。 ベッドに持たれかかり、自分が何を考えているか、いないかもあやふやだ。 「もう、夜になっていたのか」 ようやく立ち上がると、分厚いファイルがバサリと落ちた。 新しい赴任先の資料だと、捻じり込むように渡された。 明かりをつける。 LED照明に変えたばかりで、部屋は明るいはずなのに、山崎にはモノクロのような、グレーのフィルター越しに見ているような気がする。 「そうだ、なんか食べないと……」 冷蔵庫は空っぽで、仕方なく近くのコンビニに、弁当を買いに出る。 コンビニに入ると、気になっていた雑誌を手に取りペラペラとページを捲る。 「買う程でもないかな?」 雑誌を戻すと目の前には、覇気も生気もない、到底モテそうにもない冴えない男がこちらを見ている。 「1日で病人に逆戻りだよ。目のクマが酷いな……」 映っているのは自分。 大学時代は、その優しそうなベビーフェイスと明るい性格で友人も多く、よくモテた。 人当たりが柔らかいのに、正義感は強くて芯がある。 教師よりも警察官になれと、冷やかされたものだ。 「短いだろ、3年間って。でも一瞬、一瞬が輝いている高校時代を、悩みながら、乗り越えながら一緒に歩いていける教師になりたいんだ!」 「一は相変わらず熱いな!熱血教師か、お前ならそれも良いかもな!」 山崎は、両手でパンパンと軽く顔を叩くと、お弁当のコーナーへと歩く。 俯いて、背中が丸まっている事にも気付かないで。 コンビニから帰ると、少し冷めてしまった唐揚げ弁当を食べた。
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