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「どれもお気に入りなんだけどな…」
画面をゆっくりスクロールしていく。断捨離の想いで写真を削除していく。最後にたどり着いて日付を見ると3年前だった。
削除を躊躇う写真は当時、付き合っていた拓海と私(遥香)のツーショットだった。
2人幸せそうな笑顔で写っている写真を見ると拓海との思い出が蘇る。
そういえば、写真のファイルを開いた時に誰かに見られたら恥ずかしいと思うくらい、2人で過ごした写真が目に入る、と拓海に話したら
「俺は構わないけど?」
遥香を見つめて柔らかく笑う。
「私だって構わない…けど…」
他の人には見られたくない、と拓海の瞳を見て頬を赤らめた。
「でもアルバムに入れていつでも見れるようにしたい」
遥香の甘い想いを感じて拓海は、ちょっとスマホ貸して?
遥香の目の前でスマホを操作する。拓海の指は細くて長く、爪が大きくて綺麗。ポーっと見つめていると
「出来た!ほら、見てみぃ…」
そこにはシークレットアプリのアイコンが増えていた。
アイコンをタップするとパスワード入力画面になる。
「パスワードは遥香の誕生日」
入力すると試しに移動させた2人のツーショット写真が並んでいた。
「わぁ…嬉しい」
「このシークレットアプリは共有が出来るんだ」
得意げに笑みを見せる拓海は自分のスマホを取り出し、遥香とのツーショットを自撮りした。
そしてアプリをインストールすると拓海のスマホからその写真をアプリに入れた。
「遥香…アプリを開けてみて?」
すると今、撮った写真がシークレットアプリのファイルに入っていた。
「凄い!」
遥香は嬉しい、とはしゃいだ。
「このアプリを使えば、俺と遥香の2人だけのアルバムが出来ていいんじゃない?」
秘密のアルバムは2人で写っている写真の他に、それぞれが見てもらいたい写真と、時にはメモのスクショがあったりLINEとはまた違うやり取りが楽しくて、写真が思い出と一緒にファイルいっぱいになっていった。
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