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遠距離恋愛が始まり、拓海と遥香はお互いに家に行ったり来たり、1ヶ月に2回ほど会っていた。今まで毎日会っていたのに比べると少ないけれど、会えると不安な気持ちもなくなり交際は順調だった。
半年が経った頃から拓海は講義や研修、サークル活動にバイトも始めて忙しくなっていく。1ヶ月に2回会えていたのが2人の予定が合わなくて会えない事が多くなっていった。
バイトは遥香の誕生日プレゼントを買う為に頑張っていた。
やっと会える日を作り、遥香にLINEを送る。
今日、会いに行くから──
LINEは既読にならなかった。
とりあえず行けば、会えると信じて拓海は遥香の家の前で待っていた。
しばらくすると遥香が誰かと歩いてきた。拓海は声をかけようか躊躇う。男と一緒に帰ってきたから。
遥香は男に別れを告げて歩こうとした時、男に腕を引かれ抱き締められ、いきなり遥香の唇を奪った。
「俺ならずっと側にいられる」
「やめて!」
遥香は男の胸を強く押して離れた。
その様子を唖然として見ていた拓海と視線が合った。
「たく……み……」
瞳を大きく見開き、驚いた顔する遥香の顔色は酷く白かった。
拓海は目を細め切なく遥香を見つめた。
「側にいれなくてごめん……」
そういうと拓海は2人をすり抜け、その場を立ち去っていった。
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