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その日から3年の月日が経つ──
あの時、ちゃんと話せば良かった。ずっと会えなかったのは辛かった。
好きと思えば思うほど胸が痛い。
会いたいと思えば思うほど拓海との距離を感じた。
落ち込む遥香に優しく寄り添ってくれる男友達につい甘えてしまった。そして突然のキスを拓海に見られてしまった。何を言っても言い訳にしか聞こえないと思った。
────
遥香はスマホを持ち直し、シークレットアプリに指を滑らせた。
パスワードを入れた。
画面が切り替わると2人の写真が当時のまま残っていた。
柔らかく笑う笑顔、2人の色んな記念日のツーショット。
そして1番のお気に入りの恋人繋ぎをした拓海と遥香の手の写真があった。お揃いのブレスレットが輝いている。
拓海の手の温もりが大好きだった。拓海の優しい声や笑顔が一気に蘇り、遥香の頬に一筋の涙が伝った。
「拓海……」
会いたい……今でも好き。ずっと好きだった。忘れられない。
スマホにポタリポタリと涙の雫が落ちて水溜まりを作っていく。
最後まで画面をスクロールすると1枚のメモのスクショが入っていた。
これは……見た事がない、と遥香は呟く。
拡大すると──
別れて3年目の遥香の誕生日に会いに行くよ
「えっ?別れて3年後に会うって約束……私の誕生日……はっ?今日だよ」
嘘だよね?会いに来るって、シークレットアプリを使ってたなんて。
私がアプリ見てると思ってたのかな?あーっ!分かんない、混乱する
「どうしよう」
部屋をウロウロしているとピンポーンと玄関のインターホンがなった。
玄関のドアをそっと開けた。
「久しぶり……」
目の前にずっと会いたいと思っていた拓海が昔と変わらない優しい笑顔をして立っていた。
「拓海……久しぶり……」
スマホのたくさんの写真の思い出を整理していたら、忘れたくなかった、忘れられなかった想いを見つける事が出来たお話……。
──完──
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