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木々の間を抜けた途端、草原が広がっていた。空には一面の星が輝く。
『くららと一緒にこの空を見たいと思った』
新月に近い月は星々の輝きを邪魔しない。空を見上げていると星が落ちてきそうな錯覚さえ感じて震える。
『くらら。私の……本当の気持ちを伝えてもいいだろうか』
話とは、このことなのだろうか。答える言葉がみつからなくて、無言で頷く。
『私は、くららを愛している』
「え?」
夢見ることはあっても、実現するとは思わなかった言葉に驚いて向かい合う。その青い瞳が嘘を吐いているとは思えない。
『妹のようなクラーラを愛することはできなかったが、くららは愛していると気が付いた。……身勝手なことを言ってすまない』
その告白が嬉しくて、涙が零れた。
『……くらら? すまない。い、嫌なら……』
慌てた表情になったガブリエルの手を両手で握る。
「違うの。嬉しいの。私、ずっとガブリエルが好きだった。諦めようと思ったけど、やっぱり諦められなかった」
笑いながら流れる涙を、優しく笑うガブリエルの指が拭う。
『くらら、口づけてもいいだろうか?』
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