第29話 本当の気持ち

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 木々の間を抜けた途端、草原が広がっていた。空には一面の星が輝く。 『くららと一緒にこの空を見たいと思った』  新月に近い月は星々の輝きを邪魔しない。空を見上げていると星が落ちてきそうな錯覚さえ感じて震える。 『くらら。私の……本当の気持ちを伝えてもいいだろうか』  話とは、このことなのだろうか。答える言葉がみつからなくて、無言で頷く。 『私は、くららを愛している』 「え?」  夢見ることはあっても、実現するとは思わなかった言葉に驚いて向かい合う。その青い瞳が嘘を吐いているとは思えない。 『妹のようなクラーラを愛することはできなかったが、くららは愛していると気が付いた。……身勝手なことを言ってすまない』  その告白が嬉しくて、涙が零れた。 『……くらら? すまない。い、嫌なら……』  慌てた表情になったガブリエルの手を両手で握る。 「違うの。嬉しいの。私、ずっとガブリエルが好きだった。諦めようと思ったけど、やっぱり諦められなかった」  笑いながら流れる涙を、優しく笑うガブリエルの指が拭う。 『くらら、口づけてもいいだろうか?』
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