最終話 届かない月を掴む

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 昨日の出来事を思い出すと顔がふやける。恥ずかしくて嬉しくて、ベッドの中で身悶える。これ以上はダメな人になりそうと思った所で、白いシャツを羽織ったガブリエルがポットとお盆を持って戻ってきた。 「それは?」 『紅茶』  サイドテーブルに置かれたポットとティーセットは白くて可愛らしいデザイン。  促されるままに半身を起こすと背中へ枕が差し入れられた。至れり尽くせりの優しさに戸惑いながらも嬉しくて堪らない。  濃い紅茶がティーカップに注がれる。 『砂糖は何杯?』 「二杯」 『ミルクは?』 「たっぷり」  ペットボトルや缶のミルクティをマグカップに注いでレンジで温めるだけでも嬉しかったのに、ポットで紅茶を淹れてくれる姿が貴重過ぎて嬉しい。 『どうぞ』 「ありがとう」  もう顔は崩壊していると思う。嬉しくて笑顔とかそういうレベルじゃない。受け取った紅茶は程よい熱さで、一口飲むと最高の幸せの味がした。 「美味しい」  私の笑顔を見て、あきらかにガブリエルがほっとした。 「どうしたの?」 『何度も練習したが、成功するか不安だった』
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