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そう言って私の手を包むガブリエルの手が温かい。
「大丈夫。ガブリエルが温かいから」
触れ合うだけのキスを交わしてから、用意された椅子に座って竪琴を膝に乗せ、ガブリエルは立ったままでヴァイオリンを構える。
二人だけの演奏会が始まると、竪琴の音色とヴァイオリンのピチカートの音色が混ざり合い、不思議な異世界の音楽が流れだす。
何度も目を合わせ、微笑みながら演奏する竪琴は楽しくてしかたない。難しい箇所になっても、笑顔は絶えない。
夕焼けに染まる空には白い満月が現れた。気のせいか遠くて届かないはずの月が、この手に掴めそうな気がする。
長い長い演奏も楽しい時間なら、あっという間。
最後の一音が響きを終えて、私はすべてを思い出した。
そう。私はクラーラの生まれ変わり。最期にガブリエルが唇にキスをしてくれなくて、ガブリエルに女として愛されたいと女神に願った。
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