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第1話 冬の夜の再会
とある冬の夜、私の日常が突然壊れた。
午後十一時の新宿駅は、飲んで帰宅する会社員と今から遊び歩こうという若者とで混みあっている。バイト帰りの疲れた体で人波を泳ぐのは、繰り返される日常の中で、ほぼ自動的な動き。
通販で買ったばかりのベージュのコートが重い。裾のスカラップとリボンの可愛さに惹かれて買ったものの、疲れた体には結構キツイ。とはいえ、アイボリーのリブニットとチョコレート色のフレアスカートの組み合わせは可愛くて気に入っている。
混雑を横切っていく人を避けた途端に、後ろから右肩を掴まれた。
「クラーラ?」
驚きと優しさを含む声に振り向くと、茶色に近い金髪に青い瞳の背の高い男性が驚いた表情で私を見下ろしていた。モッズコートに白のYネックのカットソー、ジーンズに革のスニーカー。黒ぶちの野暮ったい眼鏡を掛けていても美形だとすぐにわかる。
私はその男性を一方的に知っている。モデルのガブリエル。
「あ、あの、音代くららです。どうして私の名を?」
私は毎日ネットや雑誌でガブリエルを見ていても、会ったことは無い。ドキドキと煩いくらいに心臓が早鐘を打ち始める。
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