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ラットンは笹の葉のような小舟に乗っていた───
最初、船は川の流れに乗って静かに下っていったのだが・・・・・・やがて、急流にさしかかり、船は大きくローリングし始めた。
(うわっ! これはヤバイ! 船から落ちる!!)
『グラグラグラ』
船は大きくローリングし、ラットンは船の縁から川に投げ出されそうになる。
川の飛沫がかかり、ラットンは思わずクシャミをする。
「ヘッ、ヘックショーーーン!!」
「○△×$□!ね◇!ねぇ!起きてよ!ラットン君!」
「えっ??・・・あ、なんだ、ミアア、どうしたんだよ?」
ラットンは自分を揺さぶってローリングさせていたのはミアアだと知った。
「あ、あのさ・・・トイレ行きたいんだけど・・・一緒についてきて・・・くれる?」
暗闇の中で恥ずかしそうにミアアが言う。
今、彼女は窓から差し込む大小2つの月の青白い光でほのかに照らされていたが、その表情までは良く見えないくらいの明かりであった。
「え?トイレなら部屋を出て左側に行ってすぐのつきあたりだよ?」
ラットンはミアアに剥ぎ取られ、元に行ってしまった毛布をずるずると引き上げようとした。
「いやなの!・・・怖いの・・・魑魅魍魎が・・・」
うつむき加減でミアアがぼそぼそとつぶやく。
(むむむ!・・・ミアアは意外と怖がりだったっけ?・・・)
これ以上引き延ばすとミアアが『うにゃあああああーっ!!』と化猫になって自分にかみついてきそうな気がしたので───
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