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「わかった、わかった!」
そう言ってラットンはベッドの横においてあった発光虫ランタンを『フリフリ』して青い光を灯した。
この発光虫ランタンの中には発光する淡水性プランクトンがたくさん入っていて、振動を与えると少しの間青くほのかに光ってくれるのだ・・・ときどき粉末状の植物性プランクトンを入れて、昼間は太陽の光に当ててやる必要があるのだけれど・・・
ラットンはベッドを降り、右手にランタン、左手は・・・いつのまにかミアアにギュっと握られており、二人はそのままそっと部屋のドアを押して二階の廊下に出た。
廊下の左右にはラットンとミアアが泊まっている部屋を含めて合計四つの部屋があったが、今晩泊まっているのはラットンとミアアだけだ。
廊下の中ほどは屋根まで遮るものがなく、明り取りの小窓があって、わずかに二つの月の青い光が入ってきていたが、それでも廊下はほぼほぼ暗闇であった。
誰も泊まっておらずドアが閉まっている部屋というのは、確かにちょっと不気味な感じではあったのだが・・・
ほんの二十歩ほど歩いて二人はトイレについた。
トイレの中の淡い橙色の生体プラズマ灯を灯し、ミアアが中に入ったが彼女はドアを少し開けたままにした。
「おい、ミアア、ドア閉めないのか?」
「だって・・・怖いんだもん!」
「音聞こえちゃうぞ?」
「うん、だからラットン君、耳ふさいでいて? でも音が無いと怖いから、何か話かけてくれる?」
「・・・注文多いなぁ、うん、わかったよ」
仕方なくラットンは頭の上の耳を両手を上げて押さえて、同時に昔話をし始めた。
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