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大草原のほぼ真ん中に位置するポンペイトーレの宿は・・・宿泊客が泊まる部屋がすべて二階にある。
一階には食堂、台所、風呂場、客間、そして宿の主人ゴトホーンと奥さんのネステレアの寝室等があるのだが・・・
二階から階下に降りる階段の下からは、食堂からと思われるぼんやりとした赤黒い光が漏れていた。
しかも───何か、ボソボソとした話し声も聞こえるのである───
「ねぇ、ラットン君・・・食堂から声が聞こえるよう・・・だよ?」
ミアアが小声でラットンにささやく。
「うん・・・確かにね・・・今は、夜の35時半・・・明日の朝食の用意をしてるのかなぁ?」答えるラットン。
(※ミアアとラットンの住む世界では、1日は36時間で、夜は夕方の27時から朝の9時までなんだにゃあ! ついでに1時間は48分、1分は48秒・・・1秒はチキュウと呼ばれている世界とほぼ同じ・・・なんだって! ちょっと難しいにゃあ!:byミアア)
「ちょっと・・・近づいて聞いてみよ?」
怖がりのミアアにしては大胆なことを言うなと思ったラットンであったが・・・相手が魑魅魍魎でないと分かっているから大丈夫なのかもしれない。
「うん・・・そうだね」
もし、この声が夫婦の夜の生活の声だったら・・・困ってしまうなー。と思ったラットンであったが・・・ボソボソ聞こえる声音はどうもそのような感じではないようであった。
どちらからともなく、二人(二匹?)は青白い月の光がわずかに天窓から差し込んでいる二階の廊下をソロリソロリと階下に降りる階段の方へと歩き始める。
やがて二人は階段のすぐ手間まで来ると、ピタリとその歩みを止め、じいっーーと聞き耳を立て始めた。
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