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階下からの赤黒い光に照らされた二つの『ガイコツ山羊族』の黒い影が───ユラユラと、海の中の海藻のように蠢いていた。
「ねぇ、あなた・・・大きいほうと小さいほうのどちらを先に料理します?」
この声は宿の奥さんのネステレア。
「そうだな・・・小さいほうはちょっと筋張っているが噛むと美味しそうだ・・・だが、大きいほうもしなやかで柔らかそうで食欲をそそるな・・・まずは、小さいほうを前菜に、大きいほうはメインディッシュといくかい?」
これは宿の主人のゴトホーン。
「いいわね・・・じゃあそれでいきましょう・・・まずはこの包丁を良く研いでおかないと・・・あなたも仕留めるためのモリをそろそろ準備したら?」
「うむ・・・そうだな・・・このモリで寝ているところを・・・ズブリ!だ」
「ねぇ、あなた・・・そろそろ二階に行ったほうがよくないかしら?」
「うむ・・・そうしよう・・・楽しみだな」
!!!!!!!
『ガイコツ山羊族』夫婦の会話を聞いて腰を抜かしたのは、それを二階の階段の縁で聞いていたミアアとラットン!
「あわわわわ!!」後ずさるラットン。
「うなななな!!」同じく後ずさるミアア。
(!!ど、どうするの!? らぁぁっとんくん!!)
声にならない声で問いかけるミアア。
(!!他の部屋が開いてるか見てみよう!!)
声にならない声で答えるラットン。
二人は腰を抜かしつつも、廊下の左右の部屋のドアノブをひねるが鍵がかかっているようでビクともしなかった。
(つきあたりのトイレの小窓からは・・・僕は通り抜けられても、ミアアはお尻がつかえてしまうし!・・・どうしよう?!)
ラットンは頭脳をぐるぐると巡らせた。
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