21人が本棚に入れています
本棚に追加
「あら・・・?」
これは恐らく奥さんのネステレアの声。
部屋のドアがそっと開けられる。
ラットンはベッドの下で偽の寝息を立て、
「すーっ・・・すーっ・・・」
ミアアもそれに倣う。
「う、うっすーっ・・・うなっ・・・うっすぅーっ」
ミアアの妙な寝息にラットンは気が気ではなかったが───
「ドアが閉まっていなかったけど・・・アラ、まぁ・・・一つのベッドで・・・フフッ、仲のいいこと」
ネステレアはドアをゆっくりと閉める。
そして廊下で、主人のゴトホーンに話かける。
「ねぇ、あなた。二人は良く寝ているようだけど・・・どうします?」
「・・・そうだな・・・モリの準備ができたら、また上がって来よう」
「そうね。私も包丁をもう少し研がないと・・・フフッ。二人は驚くでしょうね?」
「ああ、楽しみだ。ムフフ」
(!!・・・・!!・・・・!!)
嗚呼、じっとり脂汗のラットンとミアア。
『ガイコツ山羊族』夫婦の足音が階下に消えるのを確認して、ラットンとミアアはベッドの下から這い出て来た。
「うにゃにゃ、埃っぽいにゃ」
小声でぼやくミアアの口元にラットンは「静かに」の人差し指を当てる。
「さぁ! 脱出の準備だ!」これも小声でラットン。
最初のコメントを投稿しよう!