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ラットンの合図で二人はリュックをまとめ、ドアと反対側の観音開きの窓を外に向かって静かに開く。
そして、静かに静かに・・・一階の細い屋根の上に二つのリュックを下ろす。
次に、ミアアがまず窓から一階の屋根に降り(猫人族なのでこういうときは音もたてずに降りることができる)、ラットンもミアアの手を借りて、こちらも音を立てずに屋根に降り立った。
ここでラットンは簡易的なクライミングロープを使って1つずつリュックを地面へとゆっくり下していった。
2つのリュックが地面に着いたところで───
「ミアア。先に行くかい?」
「うん」
ミアアは一階の屋根からしなやかに1回前転しつつ地面に音もなく着地した。
さすがに猫人族はこのくらいの高さからなら何ということもなく飛び降りられるのだ。
───が、問題はラットンであった。
ラットンの背丈ではこの高さはちょいと高い───飛び降りられないという訳ではないが───ちょいと高いのだ。
(えいっ! いくぞ!)
心の中で軽く決心しラットンは少し勢いをつけて屋根から前方に飛び出そうとした───が、足が屋根瓦に引っ掛かり、彼の体とともに瓦も1枚宙に舞ってしまった。
(あっ!! しまった!!)
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