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一階の屋根から飛び降りるときに体勢を崩したラットンは前転し損ない、頭から地面に落ちていき、その後を一枚の瓦が追いかける。
(あぶないにゃ!!)
ミアアは猫人族の鋭い感覚でラットンが飛び降りに失敗したことを一瞬で察知すると、飛び上がりつつラットンの胸倉を掴み、相手を投げるように一緒に回転して地面に着地した。
ただ着地までの高さがほとんど無かったため、地面に対して受け身を取りつつ衝撃を和らげたのである。
『カッシャーン!!』彼らのすぐ後ろで地面の石に当たった瓦が砕ける音がした。
「ふう、にゃ!!」
ミアアは溜めていた息を吐き、ラットンも「ハァーーーッ!」と止まりかけていた息継ぎをした。
「あ、ありがとうミアア! 助かったよ!」
「うにゃ! 良かったにゃ!」ミアアが笑顔で答えようとした───そのとき!
「動くな!! 何者だ?!」
ミアアとラットンが声の方を見ると、そこには月夜の明かりでハッキリとは見えなかったが、宿の主人のゴトホーンが鋭いモリを構えて仁王立ちしていた。
そして、彼の後ろに奥さんのネステレアの姿も見えた。
「あら? もしかしてミアアさんとラットンさん? なんでこんなところに?」
ネステレアは驚いたように言ったが、その手には刃の長い包丁が握られている。
「ア、アンタたち! アタシたちを食べる気なんでしょう?!」
体を激しく動かしてアドレナリンが供給されたのか、勇敢にもミアアが声を上げた。
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