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「あら。ごめんなさいね? ミアアさん。 じゃあ今度はミアアさんにもお願いね?」
そして、ネステレアはスルリとミアアに近づくと、今度は腰を屈めることなく両手を広げて、その胸にミアアの頭を包み込んだ。
「えっ?! ええっ?」
ミアアも何故かあまり抵抗出来ずにネステレアに抱き締められてしまった。
「フフン。これで準備は完了かな?」
ゴトホーンが確かめるように言うと───
「ええ。あなた」
ネステレアは体全体に青い燐光を漂わせつつ答える。
「にゃ、ニャンだか体がダルいニャ!」
ミアアが少し顔を赤くしながら言うと、顔の紅潮が少し引いたラットンも
「ああ。うん。確かに」
と短く答える。
「お二人とも、明日の朝食を楽しみにしていてね?」
ネステレアはそう言いつつ両腕を絡ませるように頭上に上げて、腰や体全体をゆっくりとしたベリーダンスのように動かし始めた。
すると、青い月明かりに照らし出された彼女の黒い影が、青みを帯びてユラユラと伸び始め、やがて沼の水面へと揺れ動きながら進んでいった。
その影は───何か、大きな山羊のしゃれこうべのようにも見えた。
「えっ?! こ、これは?! 草草骸骨?!!」
ラットンが思わず息を飲み、
「あニャニャニャ~! 不思議だニャ!!」
とミアアが追いかけるように言う。
「これが、我が妻ネステレアの黒山羊魔法の一つなのさ・・・フフフ」
ゴトホーンはそう言いながら慎重にモリを投げる体勢を整えた。
すると、突然、沼の水面が揺れ動いたかと思うと、水中から1メルトル程の大きな魚が飛び上がった!
「オリャアッ!!」
短いが鋭い掛け声とともにゴトホーンがモリを放つ───
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