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扉の外に立っていたのは、なんとも優雅なロングドレスを着た三人の女性たちであったのだが・・・?
(う、う? なんかちょっと、ドレスがヨレヨレ? それにちょっとやつれているような?)
そう思ったミアアであったが、すぐに───丁寧に応対した。
「ようこそ、いらっしゃいましたー! どうぞ、中へお入りください♪」
「アラ、猫人族の方だったのですね?・・・それでは、お邪魔しますね?」
濃いブルーのロングドレスの中年女性のグラージェナは、だいぶふくよかであり、その左右にいる若い娘はライトブルーのロングドレスで、どちらも背格好や顔立ちが・・・見分けが難しい位・・・そっくりであった。
どうやら親子と思われるグラージェナたち三人は、ミアアの勧めで家の中央にあるこげ茶色の大きなソファに腰をかけたのだが・・・彼女たちの前には小ぶりのテーブル・・・そして、家の中を流れる小川を挟んで・・・ラットンが黄土色のソファに腰を下ろしたが・・・グラージェナたちは初めは家の中の小川にビックリした様子であった・・・
「ウニャウニャ・・・粗茶ですが~、どうぞ~♪」
ミアアが三人の女性の前のテーブルに『ストロベリー新芽茶』の小ぶりのカップを三つ置いたが、その香り立つお茶に、「アラ!いい香りのお茶ですね?」とグラージェナはお茶を一口飲み、左右の若い娘たちも釣られて一口飲んだ。
「グラージェナ様・・・ようこそ、おこしくださいました。わたくし『よろず捜索本舗』の代表で鼠人族のラットン・チューピーと申します・・・今日は、どのようなご依頼でしょうか?」
ラットンはグラージェナが知りたいことも加えて自己紹介し、単刀直入に話を切り出した。
「まぁ、お可愛い代表さんですこと・・・アラ、失礼・・・はい、わたくしメランゲ・パーニ家のグラージェナと申します。こちらの二人はわたくしの双子の子供で、姉はメローナ、妹はレモーナと申します」
グラージェナ夫人の言葉に、娘の二人は同時に同じような声音で、
「メローナです」
「レモーナです」
と言ったので、
(どっちがどっち?)とミアアは首を傾げたのであるが・・・?
「・・・実は、わたくしの主人が急病でひと月前に亡くなったのですが・・・その遺産の大半が、主人の遺書によると・・・わたくしが全く知らない別荘にあるとのことで・・・その別荘の場所が全くわからないので・・・ホトホト困っているのですよ・・・ヨヨヨ」
グラージェナ夫人はそこでレースのハンケチで目頭を押さえた。
「ホウホウ、別荘の場所が全くわからないとは・・・」
何か訳がありそうな依頼にラットンは少々うなり、
ミアアは、
(ワーオ!面白そうだニャ!)
と能天気にニンマリしていた。
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