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 制服って、檻みたい。    小学生の頃は、スカートなんて履いたことなかったから、こんなにも風が入り込んでくることも、なんとも言えないそわそわ感があることも知らなかった。 「ねぇちゃんと聞いている?」  怪訝そうにこちらを覗く明美は、小学生のころ眼鏡をかけていた。物静かでそこに自分がいるなんて主張しない無害な存在だった。  コンタクトか。  そう、心の中で呟いてから顔の筋肉を操る。 「あーなんだっけ?」 「もう、だから今週の日曜日たくや君たちとカラオケ行くから志乃ちゃんも来ないかって話だよ」  ほら、やっぱり。  檻の中に閉じ込められている。  明美はきれいに揃っている前髪を愛おしそうに触れた。 「日曜はちょっと予定があるんだ」  いつしか言葉は濁すために使うようになった。自分の伝えたい本当の言葉は心の奥底にしまって、見えない空気みたいなものを無意識に追っている。  明美はそうとだけ言って立ち上がった。  まるでつまらないとでも言うように、コンタクトにして目立つようになった大きな目は冷たさを放っていた。  この子もこういう顔をするようになったんだ。  無邪気に笑う彼女はデータを上書きしていくように消えていく。  あの頃はだれもかれもが裏も表もない純粋だった。
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