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社会ではのんびりと鍋をつつけない出来事が起きて、こんな事……人生に於いての一大事。
不安でいっぱいになりながらも、リモートワーク出来ない下々の庶民には、怖がりながらも電車を使い出勤するしか手はない。
会社に着いて入り口で消毒、仕事の前にアルコール液と乾いた雑巾を手に机やドアノブなどを消毒して行く。
この作業は案外嫌いじゃない。
(これも掃除だと思うけど…雑じゃないわよねぇ?)
彼氏の顔を思い出して文句を一つ。
「貴子ー。おはよ!ご苦労様。」
「おはよー。結局、飲み会したの?」
「ううん、リモートにした。」
「へぇ、楽しそう。」
「案外楽しかったよ?意外な一面とか見れてさ。高木なんか一緒に住んでる彼女も見えちゃってさ、紹介するはめになって?」
同期で飲み会に行く話は去年の年末からあって、年明けの騒動でどうなるか、どうするかという話だったが、私は最初から不参加だった。
彼氏で同じ会社の5つ上の営業部所属、田畑真一がいつ家に来るか分からないからと、やきもちを妬くからだった。
同期で同じ課の伊藤菜々は同期会の幹事だった。
楽しそうにリモート飲み会の話を聞かせてくれた。
「あざと女子もいてさ、意外だったわぁ。あの人ってそういう計算するんだぁみたいなね?」
「あざと女子って何?」
「知らない?最近言われてるよ?態と可愛く見せるやつ。」
「あぁ、ぶりっ子?」
「貴子って時々古いよね?」
笑われて笑顔を向けた。
「貴子もさ、次はリモート参加しない?」
「えぇー無理だよ。機械とか分かんないもん。」
「大丈夫、教えてあげるし、ノーパソはあったよね?」
「…うん。」
「カメラそれほど高くないのもあるし、いらないカメラ持ってる人もいたと思うから聞いてみるよ。」
「あ、でも……田畑さん、嫌がると思うし…。」
「見かけによらず束縛するんだねぇ。別にリモートで口説かれないし、部屋だもん。構わなくない?毎日来る訳じゃないでしょ?急に来るって連絡入ったらパソコン切ればいいだけだって。みんなにはちゃんとフォローしておくし、たまには参加しようよ。面白いよ。」
そんな言葉に参加を決意した。
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