『お父様!!』と『お父様ぁ〜』

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『お父様!!』と『お父様ぁ〜』

「なあ…ティナよ… そろそろご機嫌を直してはくれぬか…」 ソッポを向いたプラティナの横顔を見てゴルドは大変困った様子である… 「お父様!!! 今度という今度は許しませんからね…!!! 私がどれだけダーリンの事を愛しているか分かっていらっしゃるでしょう…⁉︎ ナギは…そりゃあ幼馴染で一番のお友達だけれど… それとこれとは、話が別です!!! ダーリンだって… 私の事を凄く愛しているからあんなに困っていたじゃない…!!! それをマサムネ叔父様と…あの小悪魔チビっ子魔女と一緒になって…どうかされてますわ!!!」 「まあ…待ちなさい!!!  お前は本当に婿殿を愛しているのじゃろ?」 「あ、当たり前じゃ無い!!何を今更…」 「ティナよ…愛というものはな… 本当に相手の幸せを思い遣るものじゃ… お前も…疲れて帰ってきた婿殿が炊事や洗濯、掃除などに追われる姿を見たいか…?」 「確かに…人間界は男女平等社会でダーリンも色々手伝ってくれて… でも…私は愛しているあの人のために色々してあげたい!! 他の人ならそうは思わないのかもしれないけど… あの人は…ダーリンは… 何故かそう思わせる人なの…」 まるで恋する少女のような自分の娘の表情を見て ゴルドは笑みを浮かべる… 「じゃったら…彼を…婿殿を信じてやれ!! あやつは他の女性が来たからといってホイホイと乗り換える小さな男ではないじゃろう…⁉︎」 「それは…そうだけど…」 「なら…お前も『大切な旦那様だから大事にしてあげてね!!』位の大きな心でじゃな…」 プラティナは目を閉じて暫く考えた… そして… 「…お父様!!仰る事を私なりに考えてみましたが…」 「うむ…!!」 「やっぱり私にはムリです… ダーリンの事だけはガマンが出来ないの!! あーん!!ダーリン…今頃どうしているの…⁉︎」 まさか…!! ナギと『あーんしてね!!』なんてやってないわよね… あーん!!心配だわ…!!」 「ダメじゃ…こりゃ…」ゴルドは思った… その頃…人間界の優也の部屋では… 「ハイ!!優也さん…あーんして下さい!!」 「い、いいよ…いいよ…自分で食べるから…」 「やっぱり… 私ではティナの代わりにはならないですか? 私は優也さんの好みでは…」 「ち、違うよ… 奥さんがいる男性が自分のお家で他の綺麗で美人な女性にあーんなんてやっぱりおかしいよ…」 「まあ…優也さん… 私の事、綺麗で美人だと本当に思って下さってますの…⁉︎ じゃ…じゃあ…ティナと出会ってなくて…私が最初に優也さんを好きになっていたら…私と結婚して下さいましたか…⁉︎」 「…うーん…もしもの話は出来ないけど… 僕は愛ちゃんともお付き合いしていたし… きっと優しくて女性らしいナギさんだから… ひょっとしたら結婚していたかもしれないね…」 優也のその言葉にナギの笑顔が咲き乱れる… 「ああ…ナギは幸せです… お父様ぁ〜…本当にありがとう…」
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