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自信作
朝日が昇ると共に小鳥の囀りが聞こえ始めた…
ある朝の早い時間にソーディア王宮のダイニングフロアから楽しそうな鼻唄が聴こえてくる…
…フンフンフン…フフフン…フフフン…
手際良くハムやチーズ…コールスロー風に混ぜ合わせたサラダなんかをバターを塗ったふわふわのブレッドでサンドして食べやすいように4つに切り分けると…
『ナギ特製・ソーディアンサンド』の完成である。
彼女が育てているハーブで作ったハーブティーを水筒に入れてサンドウィッチを彼女が大好きな色…
若草色のランチクロスで包む…
「ウフフフッ…出来たわ…自信作だわ!!
タウロスのミルクに…グリンカムビの新鮮な玉子…
厳選素材をふんだんに使ったからとっても美味しい筈だわ…
優也さん…喜んでくださるかしら…」
美味しそうに口に頬張る彼を想像する…
美味しいよ…ナギ…いつもありがとう…
「キャァァァァァァッ…そ…そんな…
ナギは…あなたが美味しそうに食べてくださる
から…そのお顔が見たいから…
でも…嬉しいです…」
…ナギ…
「は、はい!!こ…これからもずっと私を呼び捨てにしてください…」
…ナギよ…
「あ、す…すいません…気が利かなくて…
すぐにハーブティーを…」
「…こりゃ!!ナギ…!!」
「えっ…こりゃ…⁉︎」
ハッと我に返ったナギの目の前には父親で前国王のマサムネが立っていた…
ナギが想いを寄せる優也の義理の父親…ゴルド大魔王と旧知の仲で大親友である。
ジュエラとソーディアが兄弟国と称されるのもこの二人の仲の良さが世間に周知されているからであることは言うまでもない…
「全く…さっきから呼んでおるのに…
こんな朝早くから一体何をしておるのじゃ…⁉︎」
「は、はい…その…」
「ん⁉︎」
キッチンに置かれた水筒とランチクロスの包みを見たマサムネは…
「ほほう…なるほど…
婿殿に差し入れという訳じゃな…」
「は…はい…
優也さん…明日が誕生日だと伺っていたので…」
「そうか…」
マサムネは微笑んで…
「喜んで貰えるといいのう…」
とナギの頭を撫でた…
「はい…お父様…」
朝の小川に反射した光のように…
キラキラ輝く笑顔でナギは笑った…
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