夢心地

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夢心地

このまま玄関に置いておく訳にもいかないし… どうしようかな…? …書き置き…そうだ!! 少しだけお邪魔させてもらって手紙を添えてテーブルに置いておけばいいんだわ… 事情さえ分かって貰えたら優也さんもティナも決して悪く思わないわよね… じゃあ… ゴメンなさい…失礼します!! 意を決して玄関からリビングドアの方へ迷わず突き進むナギ… …ガチャッ… やはりそこにも優也達の姿は無くガッカリするナギ… 彼女は自身の小さなため息さえも部屋に響きそうな位の静けさに包まれていた。 「よいしょっと…」 ソファーに腰掛けた彼女は指をパチンと鳴らして魔法で机に豪華そうな便箋、羽根ペンとインクを出した… 優也さん・ティナへ… ご機嫌よう… 本日は優也さんのお誕生日なんですよね。 おめでとうございます!! お祝いにサンドウィッチをお持ちしましたので皆様で召し上がって下さい。 お口にされる物を玄関先に置かせて貰うのもどうかと思って… 失礼だとは思いましたがお部屋にお持ちさせて頂きました。 ご容赦くださいね。 ミスちゃんとリルくんにもよろしくね… それでは失礼致します…                 ナギより 「これでよし…っと!!!」 手紙を書き終えた彼女はその横にサンドウィッチが入った籐籠を置いてソファーから立ち上がろうとした… …ズキイィィィィ…ン!!! 「うっ…痛たたたたたた…」 さっき転んだ時に打ったお尻の辺りをさする… …もう…ツイてないなあ… 優也さん達は出かけておられるし… …こんな痛い目には遭うし… …ああ… 早起きしたからなんだか眠くなって来ちゃった… 心地よいソファーのクッションにナギはまどろみの中へと落ちていった… 『 happy birthday!!優也さん!!』 『ありがとう!!うわぁ…凄いご馳走だね!! このサンドウィッチ…嬉しいな… 君から祝って貰えてさ…』 『ウフフフフ…』 『じゃあ…いっただっきまーす!!』 パクッ…モグモグモグモグモグモグ… 優也は大きく口を開けてナギのサンドウィッチにかぶりついた… 『う…う…う…』 『ど、どうされました…⁉︎』 『うま〜い!!! こんな美味しいサンドウィッチ… 初めてだよ…!!!』 『まあ…優也さんったら…』 『こんな…サンドウィッチ… 毎日…君の顔を見ながら食べたいなあ…』 『ゆ…優也さん…』 『ナギさん…』 『ナギは…その…いつでも…』 『ナギさん!!』 『あなたのためなら…いつでも…』 『ナギさん!!!』 『いつでも………あら⁉︎』 優也の呼びかけに寝ぼけ(まなこ)で応じるナギ… 「ゆ、夢だったの……⁉︎」 「だ、大丈夫…⁉︎」 「は、はい…!! あっ!!その…勝手にお家に上がらせて貰っちゃって ゴメンなさい…」 「それは全然構わないけど… ねぇ…ティナと子供達を見てない⁉︎」 「えっ…優也さん… ご一緒じゃ無かったんですか…⁉︎」 「それが…起きたらみんないないんだよ…」 「ええっ…⁉︎」
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