母からの贈り物

1/1

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ

母からの贈り物

「さて…どこから調べようかな…⁉︎」 マンションの部屋に戻って来た優也達だったが… ガクッ… 「お、叔父様…」 「お義父さん!!」 「な、なるほど…これはキツいわい!!」 ゴルドまで原因不明の頭痛に膝から崩れ落ちてしまった… 「くそっ!!何が原因なんだ…⁉︎」 「しっかりして下さい…叔父様…」 ゴルドに寄り添うナギを見て優也は先程の彼女の言葉を思い出した… 『そう言えば… 少しだけ変な匂いがしたような気がしたけど…』 「匂い…」 優也は何かに気づいたようにキッチンの方へ向かった… そして…床に置かれていた小さなダンボールの中からビンを右手で持ち上げた。 「昨夜届いた荷物…これは…お袋の…」 ゆっくりとフタを回して…中の匂いを嗅ぐ… 「うーん…やっぱり!!これだよ…これ!!」 中身を一つ…親指と人差し指でつまみ出して… ヒョイ!! パクッ!!! 口に放り込んだ。 モワアァァァァ… ビンからの独特な匂いが辺りに充満する… 「ウゥッ!!!も、もうガマン出来ん!!」 流石のゴルドも匂いが耐えられなくなって瞬間移動をした。 「あっ…お…叔父様…」 「…コレのせいだったのか…」 「…少し変わった匂いですね… 優也さん…一体何の匂いなんですか…⁉︎」 「…らっきょうです…」 「らっきょう…⁉︎」 優也は大きく頷いた。 「しかも…懐かしいこの味は… 僕のお袋が漬けたものだと思います…」 「優也さんのお母様…」 「そう…昔から大好物なので送ってくれたんだと思います… ティナは…まだ見た事無かったんじゃないかな…⁉︎ でも…コレが原因だとすると…」 優也はそのビンかららっきょうを箸で一欠片(ひとかけら)取り出すと包丁で細かく刻んでから二重にしたチャック付きのビニールバッグに入れた。 そして念入りに手を洗ってから… 「…これを魔界で調べて貰った方がいいかもしれませんね…」 ナギも神妙な面持ちで頷いた… 「…でも不思議なんだよなぁ…」 「……不思議…⁉︎」 「何故…ナギさんだけ大丈夫なんだろう…」 「そう言われると…本当ですね…」 「ナギさんは変わった匂いと仰ったからそれ程は気にはならないんですよね…?」 「ええ…ここでうたた寝をしたくらいですから大丈夫だと思います。」 「じゃあ…人間は大丈夫で魔法使いに影響があるという事では無さそうですね… とにかく僕達もこれを持って戻りましょう…」 「はい!!」 こうして…らっきょうを持って優也はナギとジュエラ王宮に戻って行った。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加