図書委員会所属です!

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 さて、昨日提出だった数学の課題を出し教室に来たわけだが…。 「おはよう藤宮!何してるの?」 「ああ、姫石先輩の仕事を手伝ってた」 「また?姫石先輩溜め込むからなぁ。オレも手伝う」  姫石先輩とは風紀の三年副委員長で、姫石(ひめいし)桔梗(ききょう)というなかなか優雅なお名前の先輩だ。藤宮経由で知り合った。親切でなんでも請け負ってしまうので仕事は溜まる一方、藤宮とオレは溜まりに溜まった仕事を消化する手伝いをよくしている。  わりかしガサツな方ではあるので資料は藤宮に整えて貰い、オレがホチキスを止める係。結構好きなんだよなホチキス。パチン、パチンと二人だけの教室に音が響く。妙に楽しい。 「あれ、これ体育祭の資料じゃん」 「五月も中旬。開催自体は生徒会の管轄だが、風紀も何かと調整が必要だからな」 「なんか去年のこと思い出してきた。生徒会と顔合わせる機会が増えるから先輩たちも藤宮も機嫌悪くなるんだよね、この時期」  藤宮は答えず。無言で追加の資料を差し出してくる。仕事早すぎる。なんでパッチンするだけのオレより資料纏める藤宮のが早いんだ。やっぱイケメンってパイスペックだよな。  体育祭はーーここ蒼星院学園では明綾(めいりょう)祭というのだがーー、生徒会と風紀委員会、各部活が協力して企画準備開催を行う。潤沢な資金があり優秀な選手のいる蒼星院学園ならではの見応えのある体育祭だ。  学年クラスもバラバラで戦力を合わせるために運動の得意な生徒と不得意な生徒を不平等なく赤、青、黄色の三軍に振り分ける。  ぶっちゃけ楽しければなんでもいい金持ちの道楽でもあるから、ど定番過ぎて逆にあんまり見たことないやつとか、ブルジョワジー過ぎる催しだとかが織り交ぜられていて、とんでもねぇ企画を出した奴が『え?泥に塗れるのは庶民の役割でしょ?』と澄みきった瞳で言ってきたりする。 「今年はどんな企画が出てるの?」 「『指名制お姫様抱っこレース』に『ハイヒールレース』、出されたお題に沿って告白する『ワンチャンラブボイス』など。どこで拾ったのか分からないようなイロモノ系の嵐だ」 「うわ、謎にハイヒール履ける奴多いから『ハイヒールレース』は通りそうだなぁ」  あとは、『移動式玉入れ』『十字綱引き』『借り人競争』など変わり種ではあるものの一般的な種目が多数を占めている。  が、少数派であるはずのイロモノ系が狂い過ぎてて、頭が痛そうな顔をしている藤宮を始めとする風紀の皆さんには頑張って欲しいとおもう。読み上げたやつはまともなイロモノ系であり、他はもっとヤバいとだけ言おう。  あとなんだよ、『女走(じょそう)』って上手くないからな。 「今年はなかなか酷い」 「コレとか委員長さん即却下じゃない?」 「ああ。…まあ企画の持ち込みは伝統だからしているだけで殆どは却下されているから安心してくれ」  そりゃ風紀には堅物委員長さんがおりますものね。
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