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そんな事の為に俺を巻き込むな、と
思ったが、ここはひとまず大人の対応をする事にした。
「それよりも・・・さっき言ってた事、・・・その
助けたい人ってアトラテックの人間なのか?。」
「ああ、とても大切な人だ。神に逆らっても守りたい
人だ。」
父にそんな人がいたのか・・・ん?・・・待てよ。
「ひょっとして・・・母さん?。」
「他に誰が居る?。」
「始めからそう言えばいいのに・・・。素直じゃ
ねえのな。」
ひょとして照れてる?。ユーリウスは力が抜けた。
「チヘンネは今家に居るのか?。」
「居ないと思う。確か夜勤だって言ってたから。
夕方寄った時には居なかったから
早めに家を出たのかも・・・。」「今何時だ?。」
「七時五十六分。そろそろ帰ってくる頃だ。」
家の近くまで来た。大勢の人間の気配を感じる。
メディアと国家警察官か。
「お前は隠れていろ。それでなくても容疑者にされて
いるからな。」
「親父一人で大丈夫か?。」
「私も覚悟は決めているんだ。任せろ。」と言いつつ
家の方へ向かった。
車が近づいて来る。「来た!!。」
母の車は何事もなかったように家のガレージへ向かう。
それを追うように、国家警察が動き出した。
「出頭命令です!!。」
警察官の一人が母に令状を見せる。
「なんですか!!。あなた達。」
警察官の数は思ったより多い。やはりテロリスト
対策なのか。
「ユーリウス・ヴォルフガング。あなたの息子さんで
間違いないですよね。」
「どういうことですか?。」
「ニュースをご覧になっていないようですね。実は
あなたの息子さんが・・・。」
「ウチの息子が、何ですって!?。」
「テロ事件を起こしまして、その重要参考人として母親で
あるあなたに出頭命令が出ているんです。ご同行
願えますね。」
「ウチの息子がテロ事件を起こすわけが無いでしょ!!。
そんな出頭命令なんか受けてたまるもんですか!!。」
「しかし・・・。」
「私の妻が、一体どうしたというのですか?。」
わざとらしくゲルマンは家の敷地内から現れた。
「チリカワ・・・帰ってたの?。」「まあな。」
「ちょっとお伺いしますが、あなたとテロ事件の容疑者で
あるユーリウス・ヴォルフガングとの御関係は。」
「その前にこれを見てもらえますかな。」
ゲルマンは掌を警察官に見せた。するとどういう訳か、
警察官は勿論、見張っていたメディアもその場に眠り
込んでしまった。「何が起こったんだ!?。」
ユーリウスだけが狐につままれたようになった。
「チヘンネ。急いで荷物を纏めてくれ。もう二度と
ここへは帰れぬかもしれん。」
「遂に来たわね。」「ああ。」
その話の流れからどうやら母は事情を知っていたらしい。
ユーリウスは頭を抱えた。
「ずっと心配してたが・・・要らぬ心配だったのか・・・。」
「よし、行こう!!。」
ユーリウスは母の車の運転席に乗り込んだ。
「どこへ行けばいい?。」
「まずは、ハイウェイに乗れ!!。」「分かった。」
ユーリウスはエンジンを掛け、ハイウェイに向かった。
だが、
「まずい・・・検問だ。」
「そのまま行け。後は私に任せろ。」「大丈夫なのか?。」
ユーリウスは検問を突破する勢いでスピードを上げた。
ゲルマンは車から身を乗り出し掌を車に翳した。すると
アクセルの感覚が急になくなった。「どうした?。」
その直後一瞬気が遠くなり、気付けばハイウェイの
入り口まで来ていた。
「魔法!?。」
「こんなこともあろうかと、デルシャのセルデゥスから
天空の精霊の魔力を借りてきて良かった。」
「誰だよ、そいつ。」
「後で説明する。」
「まあ、早い話魔法使いとオトモダチなんだな。」
「魔法使いではない。守護神だ。」
「シュゴ、シン・・・?。」
「一つの国を守護する神だ。」「もう何でもいい。」
「ナビゲーションシステムに目的地を入力した。
それに従って走れ。」
「いつの間に・・・?。」
考えても仕方が無い。とにかくナビに従って走った。
「電力が持つのか?。目盛りが半分しかないぞ。途中
電気切れ起こしたらまずいだろう。」
「うーん・・・。そうだけど。」母も不安げに答える。
「最後に充電したのって、いつだよ?。」
「確か・・・今週、じゃない、先週、だったかな?。」
「ちょ、ちょっと!!。それまずくね?。間に
合うのかよ!?。」
「予備バッテリがあるから・・・多分・・・大丈夫。」
「そうなのかぁ?。」「だと思う・・・。」
「はぁ、ホントかよ!?。」
暫く進むとナビゲーションシステムのアナウンスが
鳴った。
「一キルター先にナンバー照会システムあり、時速
八十キルターで走行して下さい。」
「な、ナンバー照会かよ・・・どうする!?。この車、
マークされているかもしれないんだぜ。」
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