1人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・神の力を借りるか。」
ユーリウスは早速ティマイオスの宝玉を手に取り、尋ねた。
「そんな事出来る訳・・・と言いたいところだがその
宗教団体とやらの動きに人々が賛同し始めている。この世の
終わりに秩序が乱れるのも時間の問題なのであれば、協力
しよう。これで秩序が乱れるのを食い止める事が
できれば・・・。」
「念の為、親父にも協力させる。」「そうだな。」
その夜、ティマイオスの転送で宗教団体ナバホ=ダコタの
中央指令所にやってきたユーリウスと父チリカワ。
「何で私が付き合わなければならないんだ。」
「今まで母さんに散々苦労を掛けただろ。今回の事は償い
だと思えっつうの。」
「なんかお前に踊らされているような気もするが・・・。」
夜中だというのに明かりが煌々と点いている。チリカワの
魔法で皆眠りについているらしく静かだ。「広報室」と
書かれた部屋に入る。「んげっ・・・。」
パソコンはあった。だがどう見ても十台以上ある。
「この中からワナギースカって奴の使っているパソコンを
探せってか?。気が遠く
なりそうだぜ・・・。」ユーリウスは頭を抱えた。
「言っておくが、私が預かっている魔法ではお前の願いは
叶えられないからな。」
そんな事は分かりきってる、と叫びたかった。が、今は
そんな事は問題ではない。
「あ・・・そうか。」
ユーリウスは電源の入っているパソコンに次々と
「WA‐W11VARーSYーUKA」とパスワードを打ち込んでいく。
四、五台ぐらい試した時、パスワードに反応した。
「ビンゴだぜ。」早速持ってきたメモリにデータを
コピーした。
「よし、逃げるぞ。」「・・・不法侵入だな。」
「細かい事は気にするな。」
そして再びティマイオスの転送でアトラテック城へと
戻って来た。
自分のパソコンに例のメモリを読み込ませる。
「何か手がかりになるようなことがあればいいが・・・。」
データがぎっしり詰まっているのか読み込みに時間が
掛かる。「重いな。」
読み込み中の表示がこれ程長く感じた事はない。
「開いた・・・。」
ファイルの中に「地図」とある。「これか?。」
開いた地図を見てユーリウスは驚いた。地図には
二種類のチェックが入っている。場所を確認すると一種類は
爆発事件が起きた場所だ。「思ったとおりだ。」
「という事は、もう一つはこれから爆弾を仕掛ける、いや、
爆弾を仕掛けた場所。だが、二箇所以上の場所にチェックが
入っているという事はこのチェックの数だけ爆弾を
仕掛けるって事か。だとすれば三番目はどこなんだ?。」
ユーリウスはまず落ち着いて考える事にした。
「最初がまず、俺達が食事をしていたゴリチカホテル・・・。
そう言えばあの日は母さんが賞与日で以前から休みが
合ったら一緒に食事しようってホテルのレストランを
予約してたんだ。それをUPE-HE‐6Gに何気に話した。
だからか・・・。それから、次は俺の家の近くの
総合病院だ。そして俺が次どんな行動を取るか。と
いえばここしかない。」
ユーリウスの職場である自衛軍第八駐屯地だ。この近くに
大きなビジョンを抱えた商業ビル『オママエ』がある。
「やはりここにチェックが入っていたか。恐らく近くに
遠隔操作できる場所を確保しているかもしれない。
どこだ・・・・?。」
ティマイオスの本来の力である「千里眼」を使えば
一発で見つけられるが、そんな事は今は不可能だ。こう
している間にも三個目の爆弾を仕掛けているかもしれない。
「あ・・・あそこか!!。」
チェックが入っている商業ビル『オママエ』と自衛軍
第八駐屯地の間にある廃ビル・・・そこに間違いない。
場所は確定した。後は日付と・・・。「あ・・・これ?。」
文書作成機能の中に空欄のある項目がある。
「・・・まさか、な。」
そこに出てきたのは犯行声明分と思われる文書だった。
おあつらえ向きにユーリウスの本名とコードネームが
差出人として書いてある。日付は・・・。一枚目と二枚目は
既に過ぎている。「三枚目・・・あるのか?。」
三枚目と思しきページの立ち上がりに時間が掛かる。
「くそっ・・・。」
やっと立ち上がった文面を見た。
「明日・・・いや今日じゃないか。」
いつの間にか日付が変わっていた。遂に見つけた、そう
感じたユーリウスだった。
「さて、と。覚悟を決めるか・・・。俺の偽者、首を
洗って待っていろよ。」
最初のコメントを投稿しよう!