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出発
「では文先生、行って来ます!」
「はい、行ってらっしゃい。ちゃんと教えを守って立場を弁えてね!この試験に受かったらステップアップよ」
「はい!任せて下さい!ちゃんとここにシナリオは叩き込んであります!」
頭を右人指し指でつつきながら全開の笑みで答えた。
「その調子の良さが心配なのよねぇ、天女様、大丈夫でしょうか?」
文先生は心配気に振り返り伺っていた。
「大丈夫よ、この様でも地頭は良き娘です」
私はこの様でもの言葉に少し引っ掛かりはしたが…。
「ありがとうございます!必ず成功させて帰って参ります!」
と、眉間にシワを寄せ心配そうに見る文先生を横目に、まるで映画で見た戦地に向かう兵士の様な勢いで返事をした。
ここは綿菓子の様な雲の絨毯の隙間から幾筋もの日の光が下から射している天の国。
天女様はその光をレフ板を使っているのかと思う程の目映い光に変え、尊ささえ感じる美しく優しい笑顔で送り出してくれた。
「行ってらっしゃい…」
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