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「えっ?昇、何あれ?」
美咲はチェストの上にある紅い薔薇のブリザードフラワーを見た。それは私と昇が一緒に買った物と同じ。美咲はその事を、そして何故それなのかを、紗耶香から聞いて知っていた。
暫くの沈黙の後、昇がボソッと呟いた。
「美咲、そう言う事だ…」
「やってらんない!もういい!」
美咲は全てを悟り部屋を出て行った。
勢いよく閉められた扉の風圧でさっき仕掛けておいた本棚の隅にあるノートが一冊落ちた。
「ごめんなさい。私、今日帰って来た時玄関でバック落としちゃって、その時口紅を拾い損ねていたみたい」
「いいよ、何時かは終わらせなきゃと思ってたから」
昇は自分に言い聞かせる様に、少しほっとした表情で優に答えた。そしてゆっくりと立ち上がりさっき風圧で落ちたノートを戻そうと手に取った。
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