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目を開けると全く見た事のない白とグレーの世界。視線の先にはそこだけ光が射し輝く輪、 その中央にシルクの様な衣を纏った美しい女性が浮かびあがり、そこにある空気を静かに私に届けるか様に優しく囁いた。
「天の国です。貴方は小さな女の子が事故に遭うのを庇い、そしてこの国に来ました」
「えっ?私は死んでしまってると言う事?」
「そうとも言います」
(そうともって…じゃあ何て言うんだ?ところでこの美女は誰だ?)
「貴方は?」
「私はこの天の国を任された天女です。これから貴方、いえ紗耶香の教育を致します」
それから教育についての長い長い説明が続いた。ここから下界を見る。そこで起きている事を正し、幸せに導く仕事の教育だった。そして幾つかの試験をしてクリアした者の中から、いずれ天女様の後を継ぐ者が選ばれる。私の指導係りには文先生が付いた。
下界も天の国も同じ。スキルアップして昇格しろってか?と長い説明で詰め込まれ過ぎた頭の中に色んな言葉が回ってる。
「あっ!昇は?私の彼氏は?」
回っていた言葉の中に現れた「昇」と言う文字…。愛する彼氏の身を案じ誰に聞いているともなく、天の国に相応しくない大声をあげていた。
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