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空から見た東京
「行ってらっしゃい」
天女様から優しいお見送りを受け、私は雲流に乗り東京へと向かっている。
雲を抜け日が沈んだ町へと降りて行く。そこから見える景色を地上の星と言うらしい。天の国から見るよりも目映く輝く幾つもの星の中を流れ星の様に車のライトが線を描いている。私はその美しさに心なしかウキウキして「~~~のすばるぅ~♪」な~んて鼻歌を歌っていた。
「紗耶香様、随分ご機嫌ですね?」
雲流は天の国から発ち、時が経ったせいか幾分柔らかい口調で私に声をかけてきた。
「うん、だって久しぶりの東京よ?」
向かい風に負けない様に久しぶりに大きな声を上げて返事をした。
「お気持ちはわかりますがくれぐれも…」
「はい、わかってます」
私は雲流に嗜められしゅんとし返事をした。
少し浮かれ過ぎたかも、これから大事な試験が始まる。雲流にも手伝ってもらわなければならない。大人しく言う事を聞いておこう。と思っている内に東京が目の前に迫ってきた。
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