おばあちゃんのひみつ？

そういえば

どの部屋もそうだが　居間の電気も四角い傘のついた昔ながらの電気だ　紐を引っ張って電気をつけたり消したりできる　豆電球のオレンジの光りも懐かしい　紐の先にニットで編んだ手作りのボンボンもついている　
おばあちゃんの猫がそれにじゃれて電気をつけたり消したりしていたのを思い出す　
「今時この電気の紐は貴重だね」いつの間にか横に来てたお姉ちゃんが笑いながらいう
「寝たままつけたり消したりできたけどさ　昼間は邪魔で　傘に引っかけてたよね」そういって2人で傘を見上げた
そしてふとお姉ちゃんが思い出したようにいった
「そういえばさ　おばあちゃん　ちょっとぼけはじめてからしばらくさ　『電気の傘の裏にへそくりがあるからおろしてくれ』って言ってたよね？」その言葉に私も
「あぁ言ってた」と思い出して相づちをうつ
「お父さんが傘の上掃除したけど何も見当たらなかったんだよね」　お父さんもお母さんも　年寄りが昔のこと思い出しただけだろうって　それで終わりになった話だ
「電気　外して見る？」お姉ちゃんが私に視線を戻して聞いてくる
「えぇ　なんもないでしょ？」正直少しめんどくさい　でも傘の上はうっすらホコリがたまっていて　そのままにはできなそうだ
「‥どっちにしてもきれいにしなきゃかぁ」私が諦めて言うとお姉ちゃんは待ってましたとばかりに
「この際　シーリングライトにしようよ」とか言いながら　卓真さんを呼んだ
どこぞのテレビ番組じゃあるまいし　お宝なんかあるわけない　と思いつつも　お姉ちゃんのウキウキした様子になんだかこっちまでドキドキしてしまう