ツクモ

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え? 何?今の…。 もう一度目に当てたけれど、いつもの部屋が見渡せるだけだった。 勿論、炬燵の上にはカセットコンロも鍋もない。 ミツキもフミもトシヤも居ない。 当たり前だ。 オペラグラスを覗いて見えたのは未来ではなく、大学生時代の冬のある夜。 アオハル…か。 色々な出来事が詰め込まれた、只々楽しかった4年間。 引っ越ししなかったのは、そのせい? この空間に流れた、重ねて、沈澱した時間を覚えておきたかったから。 忘れてたけど。 片付けて、掃除機掛けて、こいつもピカピカに磨こう。全部綺麗にしたら、ミツキに連絡してみよう。 久しぶりに4人でキムチ鍋でも囲んでどうでもいい話をしよう。 「そうだね」 掌に閉じたオペラグラスから、ミツキの声が聞こえた。
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