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学生の頃はとにかく息子が心配なのか、3ヶ月に1度はやって来て世話を焼いていた母も、最近は上京のついでに顔を見に来た。くらいにご無沙汰だ。
これ程長く住むとは思ってもみなかった。というのは本人も同様。
居心地が良い…というよりも、特に不便はなく引っ越しが面倒なだけだともいえる。
転居先は既に決まっていた。
転勤で急遽空室になった築1年の綺麗なアパートだ。
此処に居残って居るのは俺だけで、不動産屋は、一番にお知らせしました。
と言った。
サクッと出て行ってほしいだろうなぁ。と思い見に行って契約をした。
当然家賃は今より2万近く高く、狭い。駅からは若干近くなる。
徒歩5分程の所なので、運べそうな物は少しずつ運んでいた。
掃除は別に嫌いではない。
共用の掃除当番もそれ程苦にはならなかった。
気づいたのは、掃除と片付け、または整理整頓というやつは、似て非なるものだということだ。
部屋の収納は全て押し入れで、布団や洋服を入れている方は整理されていたが、開戸の片側は雪崩ては押し込み、今や開かずの押し入れになっていた。
恐らく、10年分の埃と、どう片付けていいかわからない物がギュウギュウに詰め込まれているはずだ。
扉の前に置いてあったリクライナーを処分してから、扉がギシっと音を立てるのが気になっていた。
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