ツクモ

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ギ、ギッ あ、また呼んでる。 よしっ、始めるか。開けるぞ。 気合いを入れて取手を引いたが、何かが引っ掛かって開かない。 悪戦苦闘の末、扉を壊す勢いで引っ張り、開いたっと思った瞬間、案の定雪崩に巻き込まれた。 引っ掛かっていたのは、シュノーケルらしかった。 押入れ上段には雑誌やゲームソフト、訳のわからない小物や衣服。下段にはサッカーシューズやゴルフクラブ、スポーツバッグ、腹筋マシン等等が突っ込まれ、折り重なり、皮のポーチには黴が生えていた。 自分の物かも定かでない。 先ずは大物から何とかしようと、潜り込み、かき出し、下段を空にする。 使わないかも、でも、使うかも、いつか…と思わないようにして、ゴミ袋は直ぐにいっぱいになった。 上段のごちゃごちゃは見たくなかったが、雑誌や教科書はサクサクと紐で縛った。 スナップ写真が何枚も出て来た。 大学1年の冬に男4人でグァムへ行った時のやつだ。 皆んな生っ白い華奢な上半身をさらして、楽しそうに笑っていた。 どうして居るのだろう。就職して1年くらいから会ってはいない。 毎日のように、あんなに連んでいたのに…。 用もないのに集まっては喋り、合宿と称して、家出と称してこの部屋に寝泊りして行った。 春も夏も秋も冬も。 いつから?いつの間にか音信不通だ。 ミツキ、トシヤ、フミヒコ…三人の笑い声が聞こえる気がした。
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