第2話~迷子になったら拾われていつの間にか出家してました~

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 話の発端は花関索が花岳先生に実の父について尋ねた時だ。索員外がここをたまに訪れた際、夜中に花関索について話していたのを聞いていたんだ。それで2人が自分の両親について何か知っているのかと考えたわけだな。  だが花岳先生自身は索員外から話を聞かされただけで、深く知っているのは索員外の方だった。もう18になった花関索。自分の足で歩んで行っても良い頃と花岳先生は索員外に会いに行くことを勧めた。  花岳先生に別れを告げて下山した花関索。そして2年間過ごした索員外の家を尋ねる。索員外は急な義子の来訪に驚いたが大喜びで迎えたと同時に彼の来訪の理由もおおよそ察して神妙な面持ちになった。  金持ちの索員外は方々手を尽くして花関索の実母である胡金定を探し出していたんだ。まさに金持ちは大正義ってところだな。そしてその胡金定から花関索の出自について聞いたようだ。  最初こそ胡金定は話したがらなかったが、花関索はただ者ではない人物であること、そして今は中華全土が乱れ英雄が渇望されていることを熱く語り、そして索員外は特に漢室の末裔であり関雲長・張翼徳を筆頭とする英雄豪傑に慕われる劉玄徳に注目していることを語った。  劉玄徳、関雲長、張翼徳と聞いた胡金定は終ぞ花関索の出自を話し始めた。しかしそれについては母から直接尋ねた方が良かろうということで索員外は胡金定が暮らす家に案内することにしたわけだ。  馬を駆ってしばらくして索員外は一軒の屋敷の前で馬を止めた。花関索はこの景色に朧気ながら覚えがあった。7歳まで暮らしていた自分の家そのものだ!本当のところを言えば最初は索員外にお前の母を見つけたと聞いて多少は半信半疑な部分があった花関索。しかしこの景色を見ればそのような気持ちはきれいさっぱり吹き飛んだ。  ここは胡金定の実家である胡家荘。胡金定の父、つまり花関索のじいさんである胡員外の家だな。言ってなかったが索員外や胡員外の員外ってのは名前じゃなくて金持ちって意味だ。つまり索員外は金持ちの索さん、胡員外も金持ちの胡さんって意味になるわけだ。  索員外は家中の者を早馬で先に遣わせて胡金定と関雲長との間の子を連れて行くと伝えていたため、使用人がすぐに出迎えて花関索と索員外は胡家荘の中にすぐ招き入れられた。  広い部屋に通されて緊張した面持ちで待つ花関索。もう長く会っていないが花関索は母の顔を忘れた事など一日も無かった。そしてその深く慕っている母にもうすぐ会える。元より薄桃の頬である花関索の頬は赤く染まっていた。
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