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この世界から自分の痕跡を全て消してしまいたい。
こんな恥を晒しながらも「まだ生きている」という事実がこんなにも後ろめたい事だなんて思いもしなかった。
また登ってくる朝日にうんざりする。
自分の拠点の掃除しながら、公園の横を通るゴミ収集車に少し思いを寄せながら、やはり生きたいと思いながら。
梅雨時のジメジメした空気のせいか、元からの自分の性格のせいなのか。
“小さな頃はお花屋さんになりたかった。私の母が花の好きな人だった。
リビングの端には季節の花がいつも飾ってあった。
しかし気になるのは私の自室にはいつもラベンダーの芳香剤だけを母は置き続けたことだ。
そのためだろうが私の好きな花はラベンダーになり、好きな香りもラベンダーになった。”
照りつける日差しがコンクリートに溜まった水分を蒸発させている。街中を歩いている時、私の視線はいつも道の端にいく。
徘徊の途中で見かける道端の雑草は物悲しいものだ。
いつも日陰にひっそりとたたずんでいるだけなのに誰かに嫌われて、
煙たがられて、定期的に排除されているのだから。
そんなものに目を向けるのは私だけかも知れない。
私も世間から排除された存在だから。
そうやって悲惨な妄想だけを膨らませながら、空き缶を拾っている。
私という存在は疑惑だらけだ、なので私はここで沈黙する。
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