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「いえいえ、どういたしまして」
おじいさんは最後まで嫌な顔を見せることなく対応してくれた。よほどな人格者のようだ。
「旅人さん、宿屋に行くということは明日もこの国にいるということかね」
宿屋の方を向いていた体をおじいさんの方へ向ける。もうやり取りは終わりだと思ったのに違ったらしい。
「はい、その予定です」
「そうですか、それなら良いものが見られるかもしれませんね」
良いものとはなんだろう。聞き返しても良かったが明日のお楽しみということにしておこう。
僕はもう一度頭を下げ、今度こそ宿屋の方へと向かっていった。
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