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「足あとはねぇ、軌跡なんだよ」
1ヶ月前の発言のあと、姉はそう言った。その表情は興味なさげで、スマホの画面から目を離さない。
俺はつい続きを促してしまった。
「だから、足あとは歴史そのものなんだって」
姉はだるそうに返した。相変わらずスマホに向き合いつつ。
「歴史そのもの?」
俺は思わず聞き返した。
それは……、少し飛躍しすぎじゃないのか。
それに、なんで伝聞形? 誰かがそんな適当なことを言ったのか?
色々と思うところはあった。しかし、面倒になった俺は適当な相槌だけ続けた。
「雲の上に歴史はあるのかな」
姉はポツリとそうつぶやいた。そしてそれ以上何も言わなかった――。
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