1人が本棚に入れています
本棚に追加
殺した。
私はあの日 一人の男の命を奪ったの。
理由?
簡単なこと。
みんなが男を恨んでいたから。
私が代表して殺したの。
そりゃ迷惑な男だったよ。
金なんて周りから借りるだけ借りて一切返さないし。
一時期電気がつかない時なんか、「孤独死してるんじゃないのか」って近所の人たちが総出で様子を見に行って、寝癖だらけの頭で出てきた当の本人は「家に不法侵入するな」だよ?一周回って笑っちゃった。どんだけ迷惑かけたと思ってんだよって。そのくせ水道代が食費代がって騒いで、哀れに思った人たちが市役所で手続きするって事態。「うちらはお前の召使いか」って、影でボヤかれるのも無理ないよね。
昼夜逆転生活で、夜になったら決まった時間に外で騒ぎ出すの。「お前らが財産を盗んだ」とか「盗聴器がしこまれた」とか・・・なんかヤバいもの体にいれてるのかって思った。正直。
認知症(?)みたいだったんだけど、娘にも親戚にも一切連絡つかないんだよ。連絡ついた所でしらばっくれられる。これだけ見放されるってことは、よっぽどの何かがあったんだろうね。知らんけどwww
物的証拠が無けりゃ警察も動けないし、そんな状態じゃ行政との話もつかない。
周りも男に手を焼いていた。私の母もその一人だった。
ボランティアという形でそういった人を助ける活動に参加するようになったらしいが・・・安請け合いしてしまう母の欠点が災いし、その被害は家庭内に及んだの。
跳ね上がる携帯料金
震えながら男の所業を書きまとめる母の手
何故かボランティア団体の会議室と化したリビング
しばらく微妙な空気が流れて どこかで私の何かがプツンと切れた。
最初のコメントを投稿しよう!