エゴイスト

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
意外と簡単だったよ。初老の男一人殺すことぐらい。 いざ家行ったら ちょうど鍵が開いててさ―。またどっかで騒いでんのかな―って思いながら入らせてもらった。生活苦って言っておきながら、それなりに物が揃っててさ。一体誰の金で買ったんだろーね。 部屋の隅っこに、丁度メタボ気味の猫がいてさ。暴れたら迷惑なのと、多分ずっと部屋に閉じ込められてたんだなーって思って、外に出してやった。 窓を開けた時、「本当に行っていいのかニャン・・・?」って顔してたけど、ゆっくり飛び出していった。それからどうなったかは知らん。 一応包丁は持ってきてたんだけど、殺しは初めてだったから適当に使えそうなもの漁ってたら、絶対使ってない電気コードみたいなの見つけたの。刑事ドラマとかで犯人が絞首で殺してるな・・・って思って、とりあえず首だけ絞めてから刺し殺そうとした。 リビングから入れるような和室?に隠れて男が帰ってくるの待ってた。 怖かったかって?初めてだったからね、上手くいくか不安だったよ。 5分ぐらい・・・かな?ドアが閉まる音がして、襖の間から男がヨロヨロ部屋に入っていくのが見えた。流石は敵が多い人。姿形からして「意地悪じーさん」だった。人ってあそこまで人相悪くできるんだね。 で、男がコタツに入った所で飛びかかった。 滑稽だよね―。死に場所がコタツ。火傷の事故死かよって。 なんか色々うめき声上げてたけど、首が絞められてるのと私の全体重かけられてるのと体力無いのとで・・・すっごい醜い顔して動かなくなった。 でもしばらく止められなかったな――、首絞めるってこんな感覚なんだ―!!って。 包丁の出番なし。 その後?普通に家に帰ったよ? 隠蔽?するだけ無駄無駄。 だって私の目的は果たしたんだから。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!